現役『東○大生』・AV嬢!!

東○生。

『東○大学』


 仕事で自称「最高学府」に在学中というAVモデルのDVDを観る。どうって事ない無難な内容。東○大学生というなら校内のキャンパスでも歩いているシーンでもあってしかるべきだが、ただただスタジオでSEXしているだけで、フツーのAVモデルの主演作物と全く違いがない。ただモデルはその学校のOBタレントにありがちな、低学歴の一般人をどこか見下しているような選民意識は薄そうな女のコだったので、一応好感が持てた。もしこのコがホントに在籍しているなら学校では男子学生にモテモテだろうな。しかしAVに顔出し出演してしまっては、もう通学できないだろうけど…。
 でも冷静に考えると「○」は「京」だと限る訳ではないし、「最高学府」は「大学」の意味であって特定の大学を指す物ではない。どうもメーカー側の仕掛けた言葉のレトリックに周囲がうまく踊らされているだけに思えるのだが、果たして…。
『東○大学』で言えば、先日参院選出馬を表明した元女子アナもその大学卒。しかし「今までは自由に言いたい事が言えなかった」という出馬理由は、女子アナという職種を自ら「電波芸者」だったと認めているようなもの。長い間お世話になった職場、及び苦楽を共にしてきた同僚たちに対して至極失礼な発言だと思えるし、「東○大学」卒の割には言葉に対する気遣いない人だなと思ってしまう(それは自分にも言える事だが)。
 俺の身近にも「東○大学」卒の人がいて、超低学歴の俺なんかとは当然全くタイプの違う人なんだが、漫画やテレビドラマに出てくるようなガリ勉タイプなんて実際はあんまりいないんじゃないかな。ただ全ての状況に適応し易いというか、俺みたいに人とコミュニケーションを取るだけで一苦労、なんて人は「東○大学」の学生にはあまりいなさそうだ。受験勉強というのも難解な数式や化学方程式のスタイルにいかに適応できるか否か、の問題だと思うし。結局適応性が人より抜きん出ている事が一流会社や政治といった巨大組織の歯車の一員としても有効であると、いう事で「東○大学」卒の人間が多く大企業やお役所なんかに取り込まれていくのだ。
 尤もいざ「東○大学」に入学してみると何か変だな? と感じてしまう人もいるようで、実はそういう人達に俺は近しい物を感じたりする。勝手に父親に入学させられていて、だから中退するのにも躊躇い一つなかった作家の田中小実昌、映画監督になる権利を得る為に入学した長谷川和彦今村昌平のプロダクションに入社したので、あっさり中退)、入学したけど肌に合わないと感じて中退、地方の国立大に入り直したヤクザ映画俳優の成田三樹夫(但し死ぬまで「東○大学」生だった過去は明かさなかった)とか。あとホントか嘘かはまでは確かめなかったが、高校時代の俺の友達の知り合いが八百屋の息子で「東○大学」を卒業したけど、結局親の仕事を継いだという噂を聞いた事があった。こういうセンスの方が某女子アナなんかよりよっぽど知的に俺には映る。
 子供の頃、「東○大学」内にある「安田講堂」を巡る、全共闘の学生と機動隊の攻防戦をテレビ中継で観た。学生たちが追い詰められ、必死に旗を振っていた最後の学生一人が捕まるまでの攻防戦。まあ子供の目にも「敗者」は予め想像がついたし、その分悲壮感たっぷりで良くできたドラマの最終回でも観ている気分だった。その年の「東○大学」の入試は中止になり、それをモチ―フに庄司薫が小説『赤頭巾ちゃん、気をつけて』を書き芥川賞を受賞。俺は中学の図書館でその本を借り、そこに裏日本の退屈な日常では窺い知れない「東京」の匂いを嗅いで、以降「東京への脱出」が俺の少年時代のテーマとなった。そう考えると俺と無縁な存在のはずの「東○大学」も、連鎖的には今の俺とは決して無縁でないんだなって事だ。ちょっとこじつけ過ぎか(笑)。

([原達也・Blog]より)

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